抄録
残留性有機汚染物質(POPs)の環境中における動態は、大気-海洋-陸域-生物圏に渡って複合的に評価する必要がある。これまで、POPsを対象とした多媒体モデルの開発は広く行われており、環境媒体中における濃度レベルを予測することは可能となってきている。一方、これら全てのモデル研究において、環境媒体中の濃度から生物への曝露量を予測できる段階には至っていない。本研究では、筆者らが開発を行っている全球多媒体モデルに、衛星データベースの生態系モデルと既存の生物濃縮モデルを導入し、全栄養段階にある海洋水産資源へのPOPsの曝露量を時空間的に高い解像度で予測することを試みた。講演会では、排出から海洋生物への曝露に至るまでの一連のモデリングを紹介し、また、代表的なPOPsであるPCBsを取り上げてシミュレーションを行った結果を発表する。