抄録
本研究では、札幌(都市域)と利尻(バックグランド域)において、乾性沈着と湿性沈着の両方のHNO3の三酸素同位体異常(Δ17O)値の時間変化を、同時進行で定量化することで、両者の間に違いがないか検証した。分析の結果、利尻における乾性沈着HNO3と湿性沈着HNO3のΔ17O値は傾き= 1の直線関係を示した。これはHNO3の生成経路が両者間で同一であることを示している。一方、札幌では湿性沈着HNO3に対して、乾性沈着HNO3が有意に小さいΔ17O値を示し、その傾向は特に冬季に顕著であった。札幌では、近隣の発生源からの寄与が乾性沈着に反映されていることが示唆される。