抄録
国立環境研究所では今まで大気観測の空白域となっていた東南アジア域において貨物船を用いた洋上大気中のCH4の長期連続観測モニタリングを2009年より実施している。今までの観測でCH4のピークがマレー半島東岸沖、およびボルネオ島西岸域において集中的に検出された。解析の結果、これらのピークは主に石油プラットフォームからのCH4の放出が原因であると考えられた。人工衛星観測データを用いて東南アジア域における石油プラットフォームの位置の同定を行った結果、今日多くのモデル計算に用いられているCH4の放出インベントリーデータ(EDGARv4.2)が東南アジア域における石油プラットフォームからのCH4放出量に関して大きな誤差を持っていることが明らかになった。