抄録
福島県内に残存する事故由来の放射性物質のうち、Cs-134の半減期は約2年と短いものの、Cs-137 の半減期は約30 年と長いことから、今後長期にわたり放射線による健康影響に注視する必要がある。一方で放射線による人への健康影響を減らすには、環境中における放射性セシウムの濃度を低下させるとともに、その汚染経路を取り除くか縮小させる必要がある。それには、放射性セシウムの移動挙動や現在の分布を明らかにするとともに、将来の分布を予測することが必要である。JAEA福島環境安全センターでは、数年から数十年以上の期間を対象として、実際に生じている移動プロセスに基づいたモデル化と数値解析により、現在から将来にわたる放射性セシウムの時空間分布を予測し、それら予測結果を踏まえた被ばく線量の予測評価に関わる「福島長期環境動態研究」プロジェクトを実施している。本報では同プロジェクトの現状と今後の計画を報告する。