抄録
Norton CountyやPesyanoeなどの隕石中に不均質に見られる過剰な中性子捕獲反応生成物の存在などから、過去に唱えられていた太陽系初期形成物質が原始太陽からの過剰な宇宙線照射を受けていたとする宇宙線初期照射説が再び支持される報告がなされている。本研究ではAllende隕石のCAI中のヒボナイトについてSm同位体分析を行い、宇宙線照射に伴う中性子捕獲反応による149Sm-150Sm同位体シフトを定量的にとらえ、宇宙線初期照射説を支持する結果が得られるか否かについて検討した。試料はAllende隕石とアポロ15号で採取されたレゴリス試料に含まれる鉱物片などで、SHRIMPを用いてSm局所同位体測定を行った。ヒボナイト粒子では標準値に対して顕著に低い同位体比を示すものがあり、月試料ではバルク分析による値と比較して妥当な数値を示した。これは宇宙線初期照射説を支持する結果といえる。