抄録
難揮発性包有物(CAI)の中にはFUN包有物と呼ばれるマイナーなグループが存在し、それらは3つの同位体的特徴(①重い同位体に富んだ質量依存同位体分別を示す ②安定同位体に起源の不明な同位体異常を持つ ③26Al壊変起源である26Mgの過剰が見られない)を示すことから、一般的なCAIと区別される。③から、FUN包有物の形成時期は26Alが完全に壊変した後かもしくは26Alが太陽系に持ち込まれる以前であったことが考えられるが、安定同位体に異常を持つ事実は後者の可能性を示唆する。FUN包有物の起源は未だ詳しく理解されておらず、これらの形成プロセスを理解することは、太陽系材料物質の起源や、同位体均一化過程を考察する上で重要である。 今回は、我々が分析した包有物のうち大きな質量依存同位体分別(<50‰ per amu)と初生26Al/27Al値が誤差の範囲でゼロ、さらにCaおよびTiの安定同位体に異常もつFUNらしき包有物を3つ発見したので、その分析結果について報告したい。