抄録
クロマグロ耳石の酸素安定同位体比が生息環境の温度を反映することがわかってきており,生体推定や環境指標としての活用が期待されている.本研究では,本種稚魚(34日齢)の酸素安定同位体比を定量し,温度指標としての有用性が成長を経ても保持されているかを検討した. 34日齢の扁平石の酸素安定同位体比値は, 8日齢の耳石(Kitagawa et al., 2013)と調和的な同位体値を示し,成長を経ても生息環境の温度指標として有用であることを明らかにした.また1個体内の耳石の酸素安定同位体比値は高い均質性を持つことがわかった. 今後耳石同位体に関するさらに詳細な研究を進めることで,環境指標としての利用価値を高めることができる.