抄録
生命の誕生には、生体を構成するアミノ酸のようなモノマーの生成、それらの重合と機能発現が必要である。ここはリンゴ酸モノアンモニウムの加熱熔融系について、構造形成と構造形成に伴う分子の選択などについての研究を行った結果について報告する。リンゴ酸モノアンモニウムを加熱して得られたプロテノイドから球状構造物であるプロテノイドミクロスフェアを得た。SEM観察により、直径はおおよそ1 mm程度であり、形成時に共存するイオンをNa+やK+から、Mg2+に変えると大きなミクロスフェアが形成した。また、金属イオン濃度が高くなると、粒径がより大きくなった。ただし、粒径が大きくなるとミクロスフェアの凝集や沈殿が生じ、均一な分散状態が失われた。これらプロテノイドとプロテノイドミクロスフェアの関係について議論する。