抄録
地球大気の化学組成は46億年の固体地球と生命活動の変化の結果、劇的に変化してきたと予想される。24億年前以前の堆積岩から硫黄の質量に依存しない同位体分別(S-MIF)が発見されたことにより、現在とは異なる硫黄循環と還元的大気が主張された。近年、太古代堆積物のD36S/D33S比は大気組成変動の強力なトレーサーとなることが注目されている。従来の研究は後期太古代を対象としS-MIFの研究が活発に行われており、30億年以前でD33S-D36Sの変動を報告した例は少ない。太古代の初期におけるD36S/D33S比を决定することにより、後期太古代の変動と対比することは極めて重要である。本研究では約35億年前の南アフリカ・バーバートン緑色岩帯を研究対象地域とし、そのドリルコア試料を用いて全岩4種硫黄同位体分析を行った。その結果D36S/D33S比が後期太古代とは異なる変化を示し、大気組成の違いを反映している可能性がある。