地球表層の酸化は酸素発生型光合成細菌の出現が原因であると考えられているが、その進化時期と初期地球表層環境の変遷については明らかになっていない。主に先カンブリア時代に産出する縞状鉄鉱層の微量元素や同位体組成は、形成当時の海洋溶存成分を反映していると考えられ、初期地球表層環境の推定に用いられてきた。本研究の目的は,南アフリカ・バーバトン地域において主に浅海性堆積岩から構成されるムーディーズ層群中の約32億年前に形成した縞状鉄鉱層中で発見されたクロム濃集の空間的広がりを明らかにすることである。そのため、バーバトンから南西に10kmほどに位置する、先行研究においてクロム濃集がみられたMoodise Hills (MH)および北東に10kmほどに位置するEureka synclineにあるGate of Paradise (GP)において調査を行った。