抄録
コンドライト隕石の全岩試料には様々な重元素同位体異常が報告されている。Ndは次世代TIMSによって同位体異常の研究が盛んな元素のひとつである。コンドライト隕石には放射壊変起源の142Ndに加え、148Nd・150Ndといった安定同位体にも同位体異常が報告されている。しかしこの結果は、隕石試料の分解時に耐酸性のプレソーラー粒子を完全溶解できずに得た、誤ったものである可能性もある。本研究では隕石全岩の完全分解法と超高精度Nd同位体分析を組み合わせ、Nd同位体異常をより詳細に議論する。予察的な実験として4種類のコンドライトのNd同位体比を測定したところ、142Nd/144Nd比は地球試料から23±3ppm低い値を持っていたのに対し、安定同位体には地球試料との有意な差は見られなかった。今後更なる精度向上を実現させ、母天体環境や変成度の異なる隕石を測定することで、詳細な議論を行っていく。