抄録
青森県東岸に位置する小川原湖中央部で2009年秋に掘削された長さ約20mの堆積物コア試料中から、堆積当時の湖底直上の湖水中の塩分濃度の指標になりうる化学成分を分別抽出し、そのストロンチウム同位体比を測定することで、過去の湖水中の塩分濃度変化を復元できる可能性について研究している。年縞堆積物コアから、汽水湖の過去数千年間の古塩分濃度変化を復元することができれば、海水準変動や津波の高精度な時間軸での襲来歴について解明することができる。予備的な結果からは、堆積物の中でも「炭酸塩相」中のストロンチウム同位体比の値の変動が、層序学的に記述された堆積環境の変動と大変よく同期しているように見える。