抄録
高緯度海域に分布する“海氷”は、海洋の約1割の面積を占めており、地球規模の気候変動を制御する要因として大きな役割を担っている。物質循環の観点からは、海氷は単なる大気-海洋間の物質交換の“障壁”として認識されてきた。しかし、海氷は、普段我々が目にする淡水氷とは異なり、多孔性の構造を持ち、気体や物質のやり取りが起きる可能性を示した基礎的研究が、過去に報告されていた。近年では、地球温暖化の影響による極域での急激な環境変動が懸念され、海氷が物質循環に果たす役割を把握する必要性が認識されつつあった。このような背景の中、発表者の研究グループでは、海氷の生成と融解が極域海洋の物質循環に与える影響を把握するため、室内実験や現場観測を実施してきた。本発表では、これまで実施してきた発表の研究グループの成果を中心に述べる。