日本地球化学会年会要旨集
2014年度日本地球化学会第61回年会講演要旨集
セッションID: 3D02
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S1  北陸地方を中心とした大気水圏化学-高低差4000mの地球化学
立山の森林における大気由来のイオン供給の重要性
*久米 篤上原 佳敏中野 孝教中島 春樹石田 仁朴木 英治渡辺 幸一申 基澈
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抄録
中部山岳国立公園の立山・浄土平(標高2839m)において、ハイマツ林冠の物質動態を測定した結果、針葉表面に付着した無機窒素成分の約70%を吸収していた。一方、多量の陽イオン成分が針葉表面から溶脱しており、針葉の濡れ時間とSO42-イオン供給に比例していた。ハイマツ林内雨の87Sr/86Srは、大気沈着や海塩の値と非常に近く、葉枝・リターでは、黄砂の値に近かった。美女平のスギ林(標高977m)、ブナ平のブナ林(1200m)、弥陀ヶ原のオオシラビソ林(1930m)では、スギ林とオオシラビソ林の林内雨と樹幹流の87Sr/86Srは、いずれも大気沈着の値に近かったが、ブナ林では黄砂の値とほぼ一致した。これらの結果は、立山ではいずれの森林地帯でも大気からのイオン供給が重要で、基岩の影響は小さいこと、また、黄砂が重要な陽イオン供給源になっている可能性を示した。
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© 2014 日本地球化学会
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