抄録
本研究は河川から沿岸海洋への栄養塩輸送状況を解明するため、急流河川である富山県東部の早月川・角川・片貝川の水文特性、主要化学成分濃度、酸素・水素・硝酸態窒素同位体比を測定した。酸素・水素同位体比は富山県での天水線の範囲内であり、河川ごとに季節変化がみられ、角川・片貝川では春期と夏期の全地点の平均値が等しく、早月川に比べて流下時間の長いことが示唆された。また、早月川と片貝川の涵養源標高は全地点で変わらず、山地森林域の降水がそのまま流下しているが、角川では流下に伴い硝酸濃度が上昇した。富山湾への硝酸態窒素の輸送量は、早月川で15×103t/年、角川で6×103t/年、片貝川では19×103t/年と見積もられ、早月川と片貝川は全域で自然起源が9割以上、角川は下流域で人為起源の影響が認められた。