抄録
タンパク質を構成しているアミノ酸の窒素安定同位体比は,栄養段階の指標として用いることができる。現在,海棲生物,陸上C3植物系,陸上C4植物系の3種類の式が知られており,いずれの応用例もこれまでの生態学で得られた知見と非常によく一致する。本講演では,この方法論を現代人の爪に応用し,現代人の食性解析を行った結果を報告する。測定対象となったのは,日本人だけでなく欧州や南北アメリカ大陸の人々から採取さいた試料である。さらに日本人については,マーケットで売られている肉,野菜,魚などの多数の食品についても分析し,それらとの関係について考察する。