抄録
海洋プレート下部地殻については、近年その構造が明らかになっているものの、物的証拠の少なさなどからその形成については未だ議論がなされている。トロクトライトは、オリビンとCa-斜長石を主構成鉱物とし少量の輝石を含むガブロの一種として、海洋プレート下部地殻やそれに類するオフィオライトなどで観察されており、海洋プレート下部地殻の形成あるいはマントルとの相互作用についての情報を持つと期待して全岩化学分析を行った。分析した試料は、太平洋中央海嶺とココス-ナスカプレート境界の三重会合点付近のヘスディープ海盆で行われたODP147 site 895で採取された掘削コア試料の一部を用いた。Osを含むPGE濃度と全岩Os同位体比はどちらもハルツバーガイトとMORBの間に分布し、これらの2成分混合でPGE成分を説明できる可能性を示している。