抄録
本研究はアフリカの巨大河川の砕屑性モナザイトのU-Pb年代分析により, アフリカ大陸の形成を司った汎アフリカ造山運動の詳細な年代情報をより詳細に得ることを試みた. 年代分布は, 汎アフリカ造山運動の時期にピークを持ち, 河川ごとにも違いが見られた. このような年代ピークの違いは, ジルコンを用いた先行研究では見られなかったもので, モナザイトのより高いU-Th濃度のために高精度で年代測定が可能となったことに起因する. この河川ごとの違いは,それぞれの河川流域における造山運動の時期が同時ではなかったことを示し,アフリカ大陸の形成は,現アフリカ北東部(ナイル流域)の衝突から進み,北西部(ニジェール流域),中央部~南東部の衝突合体が続いたことを示唆する.また, 砕屑性モナザイトにのみ500Ma付近に明瞭なピークが存在することから, ジルコンには記録されない低変成度の造山運動イベントが存在したことが示唆された.