抄録
アルケノン合成種であるハプト藻の乾燥粉末を真空下で加熱すると、アルケノンの熱分解により生成されると考えられる炭化水素が生成されたことから、ハプト藻のバイオ燃料への応用が検討されている。E. huxleyiの培養試料の熱分解実験により、ハプト藻が合成する脂質の分解過程を検討し、バイオ燃料生産への応用を検討した。E. huxleyiの細胞試料は、加熱処理時間に伴いアルケノンが減少し、48時間以上では消失した。アルケノン粉末のみの場合、構造変化により多くの分子量の等しい異性体が検出された。モンモリロナイト添加実験では、C13~C21アルカンが主要成分として検出され、粘土鉱物の触媒効果によりアルケノンのクラッキング反応が促進されることを示した。ハプト藻脂質の炭化水素への熱分解効率を粘土鉱物の添加で促進できることを証明し、バイオ燃料生産における有用な方法を提案する。