抄録
鍾乳石の一種である石筍は、CaCO3生成時の原料である滴下水を流体包有物として取り込んでいる。この流体包有物のH2OとCaCO3の酸素安定同位体比(それぞれ、δ18Owとδ18Ocとする)からは、過去の石筍生成時における同位体分別係数を求めることができる。分別係数は、気温依存性から気温を復元できるほか動的同位体効果の評価指標にもなる。石筍の流体包有物は標準試料が存在しないため、一般的に再現性は同一層から採取した試料の繰り返し測定によってテストされる。しかし、同一層内でδ18OwとδDwがどの程度均質であるかどうかはわかっていない。そこで、本研究では同一層内でδ18OwとδDwの均一性の評価を行った。