抄録
Hill et al. (2006)は、ベーリング・アレレード期(B/A期)の海洋における急激なメタンガス放出量を見積もり、その量が全メタン放出量(170~185 Tg)の3分の1を占めることを推定している。このことが事実であれば、海洋からのメタン放出は地球環境に大きな影響を与えていた可能性が高い。しかしながら、直接的なメタン放出の証拠は得られていない。本研究ではカリフォルニア沖堆積物中のジプロプテンに着目した。ジプロプテンは、-55~-40‰ではメタン資化性菌に由来することが知られている。測定の結果、石油由来化合物のHopane類が増加しているB/A期に、ジプロプテンが-40‰と軽い値をとり、これはメタン放出の直接的な証拠になり得る。