抄録
瑞浪超深地層研究所の研究坑道において花崗岩中の深部地下水を採取し、深部地下環境を維持した条件下で地下水中の微生物を培養し、硫酸還元活性、炭酸還元活性を見積もった。チャンバー内の水素濃度は10000から1ppmと条件を変え、25℃で培養した。 その結果、チャンバー内の硫化水素濃度が上昇したことから、微生物の硫酸還元活性があることが確認できた。また、高い水素濃度条件よりも原位置環境に近い低い水素濃度条件でより活性が高かった。さらに、培養後のサンプルのメタンの炭素同位体比を測定したところ、水素濃度の低い条件で重い炭素同位体比を持つメタンが検出され、重い炭素同位体でラベリングされた炭酸イオンが還元されてメタンが生成したと考えられる。以上のことから、瑞浪地域の地下水中の微生物には硫酸還元活性、炭酸還元活性があり、それらの活動は原位置環境に近い低い水素濃度で活発になることが分かった。