主催: 日本地球化学会年会要旨集
土壌圏における重金属元素の動態のモデルとして、アルミナに対するZnイオンの吸着が研究されてきた。Znと同族のCdは生体に有害な重金属であり、土壌環境中における挙動の解明が求められる。そこで本研究では水酸化アルミニウムによるCdイオンの共沈実験を行うことで、水酸化アルミニウムの沈殿が生じる際のCdの挙動を明らかにすることを目的とした。共沈実験は硝酸カドミウムと硝酸アルミニウムの混合溶液にNaOH水溶液を滴下することによって行った。得られた沈殿物についてXRD, 27Al及び113Cd MAS NMRの測定を行った。測定の結果、Cdには2種類の化学状態があり、Cd(OH)NO3・H2OとAl-O-Cd結合を含む化学種であることが示唆された。溶液中のCdはまずAl-O-Cd結合を含む化学種を形成すると考えられるが、これらCdとAlからなる沈殿物の生成過程は検討中である。