抄録
西南日本の太平洋側の地域は厚い堆積層からなる。これらの堆積層は、“付加体”と呼ばれている。西南日本の付加体は主に白亜紀から第三紀にかけて堆積した太古の海底堆積物に由来しており、高濃度の有機物を含んでいる。また、付加体の深部地下圏には天水に由来する豊富な地下水が存在する。さらに、付加体の深部帯水層には大量の天然ガスが含まれている。 我々は、静岡県中西部の付加体が分布する広範囲の地域に構築された温泉用掘削井を調査し、深部地下水および付随ガスを採取した。そして、地下水の環境データの測定、各種イオン濃度の測定、付随ガスの組成分析、炭素安定同位体比分析を実施した。また、地下水に含まれる微生物群集を対象とした16S rRNA遺伝子解析および嫌気培養を試みた。さらに、地下水に含まれるメタン生成菌の現場活性を推定するために、メタン生成菌に特異的な補欠分子族(F430)の検出・定量を試みた。そして、付加体の深部地下圏における微生物ポテンシャルと炭素・窒素循環を明らかにするための研究を実施した。