抄録
中国北部や東北部では、冬季のバイオマス燃焼が一般的であり、バイオマス燃焼により微粒子の排出はアジア地域の大気環境に影響を与えている。2009年10月から2012年2月にかけて、沖縄の辺戸岬でエアロゾル試料を採取し、バイオマス燃焼起源の脱水糖類を有機物トレーサーとして測定した。LevoglucosanやMannosanが冬季に高く、夏季に低い明らかな季節変動を示した。後方流跡線や火災スポット解析により、その季節変動はアジア大陸でバイオマス燃焼の排出の影響を受けている事が分かった。また、沖縄エアロゾル中の高いレベルの脱水糖類に対応して、中国北部や東北部、モンゴル、ロシアのバイオマス燃焼のイベントが観測された。本研究の結果は、アジア地域におけるバイオマス燃焼が西部北太平洋の大気環境に大きな影響を与えていることがわかった。