オホーツク海は、生物生産の高い海域として知られている。中でも特に、北西陸棚域及びサハリン島東岸において高い生物生産を誇っており、世界最大級の河川であるアムール川から供給される栄養塩及び溶存態鉄の供給によってこの海域の生物生産が支えられていることが指摘されてきた。しかしながら、アムール川供給物質がオホーツク海をどのように輸送され、分布しているかは明らかにされていないこなかった。そこで、本研究ではアムール川懸濁物及びオホーツク海懸濁物、表層堆積物に含まれる珪酸塩砕屑物成分のSr、Nd同位体比及び微量・希土類元素組成分析からを行うことで、アムール川供給砕屑物の分布及び輸送過程の解明を試みた。本研究の結果、オホーツク海北西陸棚域の砕屑物は3つの供給源物質によって構成されており、また北西陸棚域のSakhalinsky Bay及びサハリン島東岸の生物生産の高い海域にアムール川供給物質が輸送されていることが明らかになった。