抄録
ケイ藻ケイ酸殻は純粋なオパールではなくアルミニウムや希土類元素などを始めとする様々な金属元素を不純物として含んでいることが明らかになりつつある。セディメントトラップ試料にはケイ藻ケイ酸殻のほかに放散虫や陸源のケイ酸塩も混在しており、これらを化学的に分離することは極めて困難である。本研究では、セディメントトラップ試料を酢酸(A)、塩酸(B)、過酸化水素水(C)、炭酸ナトリウム溶液(D)、硝酸(E)の順に処理し、最後に溶け残った残さをフッ酸・過塩素酸・硝酸(F)ですべて溶解し、化学組成を測定した。ジルコニウムや希土類元素では、D + E < Fの関係が得られた。未変質のケイ藻ケイ酸殻の化学組成はオパールフラックスの最も大きな試料で代表できるとすれば、この結果はケイ藻ケイ酸殻に従来法では分解できない形態の不純物が存在していることを示している。