抄録
植物プランクトンは海洋における生産者であり、クロロフィル量は基礎生産量の指標になると考えられるため、クロロフィル量から生産を評価できる。本研究は、現場観測から東シナ海におけるクロロフィル極大水塊の分布について検証し、クロロフィル量から基礎生産を推定することを目的とした。本研究では、2003年、2004年、2009~2011年の7月に行われた航海より得られた観測データを使用し、単位面積あたりのクロロフィルa量を算出した。クロロフィル積算値を比較したところ、30.7~49.9mg/m2となり、夏季には少なくとも30mg/m2程度のクロロフィルが対象海域全域に存在していると推測された。また2003年・2004年の陸棚縁辺部を含む観測では、陸棚斜面域に対して陸棚上の積算値が20~27%程度大きい傾向にあった。クロロフィル積算値を生産の結果として捉えたとき、東シナ海外部陸棚域においてもクロロフィル極大層の形成に寄与する栄養塩の安定供給が示唆された。