抄録
幌延深地層研究センターでは,堆積岩を対象とした深地層の科学的研究の一環として,地下深部における地球化学環境の長期変遷解析手法の開発を行っている.地上からのボーリング調査で溶存ガス量や炭素同位体組成が得られているが,それらは大きなばらつきを示したため,地下施設を利用した信頼性の高いデータを取得する必要がある.本研究では,地下施設を利用して得られた溶存ガス中のメタンの炭素・水素同位体組成,二酸化炭素の炭素同位体組成およびそれらの溶存ガス量をもとに炭酸塩鉱物の生成に関与するCO2の生成過程について考察を行った.その結果,地下施設周辺で観測されるCH4の主要な起源については,微生物活動によるCO2の還元反応であるというこれまでの報告と同様の結果が確認された.一方で,炭酸塩鉱物の生成に関与する炭酸は,深部から供給されている可能性が示唆される,というこれまでとは異なる見解が得られた.