抄録
2013年夏季に東京海洋大学の「海鷹丸」によって(UT13航海)隠岐トラフ,秋田‐山形沖から採取された堆積物における間隙水化学成分・間隙水溶存ガスの地球化学分析を行い,日本海東縁に広がるガスハイドレート胚胎状況やガスハイドレートの形成・分解と堆積物中の化学的環境の変動要因について考察した.隠岐トラフでは0.5-3cm程度大きさのフレーク状ガスハイドレート片が,秋田‐山形沖では直径8cm以上のガスハイドレートが海底下1~6mの表層堆積物中で確認された.間隙水中の硫酸イオンやメタン濃度からは,硫酸―メタン境界は浅くメタン供給量が高いことに加え,硫化水素の存在がガスハイドレートの安定領域を拡大し,浅部でもガスハイドレートが形成しやすい環境となっていることが明らかになった.SMI以深でも硫酸,カルシウム,マグネシウムプロファイルに小さなピークが複数みられ,過去のSMI変動に伴う間隙水―堆積物反応を記録している可能性が示唆された.