抄録
アミノ酸の室温条件における圧力誘起反応はこれまで全く知られていなかった。そこで、本研究ではアラニンに室温条件(25 ℃)で5 GPa、7 GPa、9 GPa、11 GPaの圧力をかけ、圧力誘起重合反応の観察を試みた。常圧に減圧した試料を回収し、GC-MS測定を行い、反応生成物の定量を行った。その結果、二量体がすべての圧力で、三量体は9 GPa、11 GPaで検出された。本研究により、従来では重合反応が起こらないとされていた室温条件で、アラニンの圧力誘起重合反応が起こることが明らかになった。本研究の結果は、氷惑星内部でのアミノ酸の化学進化の可能性を示唆している。