抄録
岩石が風化し溶出した成分と河川水や地下水中の成分には密接な関係があると考えられる。本研究では花崗岩と花崗岩地域の渓流水の水質との関係解明を念頭に置き、花崗岩と水の反応実験を行い、岩石・鉱物からの元素の溶出過程の検討を行った。
実験では粉砕した花崗岩と造岩鉱物をそれぞれ装置内で水と反応させた。岩石や鉱物から溶出した成分を分析し、アルカリ度や各イオン溶出の経時変化から反応初期で変化が大きく、約2週間経過するとほぼ一定になることが分かった。また、元素の溶出は黒雲母からが最も多かったことから、有色鉱物の風化に対する抵抗度の低さが確かめられた。各鉱物からはCa2+の溶出が最も多くなった。F-とCa2+の溶出量の関係から、蛍石からのCa2+の溶出が考えられる。また方解石の存在も確認できたことから、Ca2+の溶出は斜長石以外にも蛍石と方解石からである可能性が示唆された。