抄録
揮発性元素は,惑星集積時およびその後の火成活動による脱ガスを通じて大気組成を変化させ,生命の存在条件と密接な関係を持つ表層環境に大きな影響を及ぼすことが知られている。本研究では,太陽系内および惑星表層圏で大きな同位体変動を持ち,水の起源や進化を調べる上で優れた化学的トレーサーである水素同位体に着目した。水素同位体システマティクスを,地球化学的特徴の異なる複数の火星隕石に適用することで,(1)火星の水の起源,(2)火星マントルの含水量,および(3)火星玄武岩マグマの地殻同化作用を明らかにした。