抄録
古海洋環境変動解析において,化石生物起源炭酸塩から(温度効果を補正した)酸素同位体比を復元することで,過去の塩分のプロクシとすることが広く行われる.特に東シナ海においては,揚子江河川水の影響による塩分低下の程度をモニタすることで,東アジア夏季モンスーン変動を復元できると期待されるため,同海域における海洋表層水酸素同位体比変動の要因を正しく理解することが必要である.本報告では,揚子江流域淡水および東シナ海黒潮流軸域海水の安定水素・酸素同位体比および塩分の季節変動を調べることで,海水酸素同位体比に現れる淡水の影響を評価し,東シナ海における同位体比の塩分プロクシとしての意味を再考する.