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沈み込み帯における元素輸送と分別を、2次元流体力学的なモデルに組み込み、数値モデルによって定量評価を行った。その結果、溶融による元素分別と、流体による元素分別が2次元の複雑に交差する固液それぞれの流線に沿ってオーバーラップしながら起こり、多様な親娘元素比をもつマントル物質が生じることが分かった。また、それらはスラブ上面にそって厚さ数十kmの「物質境界層」(Iwamori and Nakakuki, 2013)を生じ、マントル深部にスラブとともに沈み込み、マントル中を長期間循環する可能性があることが分かった。5億年間の同位体進化を計算したところ、現在観測されるマントル同位体不均質に匹敵するベクトルや広がりが再現されることが分かった。従って、マントルへの表層物質の入口である「サブダクションファクトリー」のみで、観測される不均質全体を生み出しうる可能性がある。