p. 168-
地球はその形成初期において「マグマオーシャンの冷却に伴う化学的成層構造の形成」が起こったはずである。そこで地球内部で起こった(または起こり得た)融解とその後の結晶分化を実験的に再現し、その物質分化過程を理解する必要がある。そこでまずはマントル物質の状態図作成のために、これまでに高圧下における融解実験が行われてきた。マルチアンビル型高圧発生装置により下部マントル上部相当まで実験が勢力的に行われた後、近年はダイヤモンドアンビルセル装置(DAC)により実験圧力が拡大されている。DAC実験の試料は極めて小さいために、放射光X線を用いた実験が主流であったが、分析技術の進展にともない、実験回収試料の化学分析が可能になってきた。講演ではDACを用いた実験において、何が技術的に可能であるかを紹介し、かんらん岩、MORB、エンスタタイトコンドライトについての融解実験の結果について報告する。