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近年、石筍の14Cは、年代測定のツールとしてよりも、IntCal曲線(大気の14C)と比較することにより、過去の水循環を知るための有効なプロキシとして注目されている。実際にいくつかの石筍の報告例から、大きいDead炭素の寄与率(Dead Carbon Fraction: DCF)をもつ石筍は、成長期間中のDCFが一定ではなく、気候によって変化した可能性があると指摘されている。我々は、静岡県の竜ヶ岩洞内の石筍の14Cを調べた結果、温暖期にDCFが小さくなる傾向が見られた。この結果はNoronha et al. (2014)とは逆、同地点から採取された滴下水の2年間にわたる結果とは同じ傾向であった。本発表においては、この竜ヶ岩洞石筍のDCF変化について、δ18O値、Mg/Ca比、Cd/Ca比、87Sr/86Sr等の結果と比較しながら議論し、石筍のDCF変化が降水量のプロキシとなり得るかについて考察する。