層状ケイ酸塩へのCsの吸脱着反応に影響を与える因子として塩濃度と天然有機物に注目した。試料として、福島沖の沈降粒子や河川の懸濁粒子などを用いた。137Csの添加実験では、有機物の除去後でKdは上昇した。これは、有機物がCsの吸着を阻害していることを示唆している。塩濃度の増加によりKdは低下した。これは、Kなどの陽イオンとCsとのイオン交換により吸着量が減少することを示唆している。有機物の除去よりも、河川と海洋での塩濃度の変化のほうが、Kdに与える影響が大きいことが分かった。実際に河川、河口、海洋で観測されているKdとGAMにより計算されたKdはほぼ同様の結果を示しており、Kdの水質への依存性や懸濁粒子の特性をGAMが反映しており、これに基づき海水に溶脱する放射性セシウムの割合を推定できることが示唆された。