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薩摩硫黄島は薩南諸島北部の鬼界カルデラの一部を構成する火山島で、海岸線に沿って数多くの温泉があり、一部は海底からも湧出していることが知られている。島の南西部にある長浜湾の海底から湧出する温泉水試料の採取を2015年4月に行ない、試料の化学分析を行った。その結果は、陸水を起源とした鉄に富む温泉が海底から湧出して湾内の海水と混合していると説明できる。薩摩硫黄島において、鉄に富む温泉は玄武岩で構成される稲村岳の周囲に分布しており、その一部が長浜湾の海底からも湧出していると考えられる。