分子雲中には、塵を核としてさまざまな原子・分子を吸着した星間氷が存在している。星間氷に宇宙線が照射されてさらに複雑な有機物が生成し、それが生命の出発材料になっていると考えられ、地球上の生命の起原と進化を知るのに重要である。本研究では、分子雲を模した環境下での光化学合成実験で得られた、実験生成物(模擬星間物質) の網羅的解析を行った。生成物を超高速液体クロマトグラフ質量分析計にかけ、検出されたイオンの質量から組成式を推定し、それらの特徴を明らかにした。その結果、水、メタン、アンモニアの混合ガスから作られた生成物では窒素を含む化合物が多く、多環芳香族化合物は少なかった。