別府湾奥部には堆積速度の速い完新世堆積物がほとんど生物擾乱を受けずに堆積しており、その鉱物組成は多様に変化する。別府湾は3方を陸に囲まれ、流入する主な河川は南岸に河口を持つ大野川と大分川である。大野川の流域の地質は主に酸性および中性火山岩類からなり、南部の支流域には中古生代の堆積岩が分布する。一方の大分川の流域地質は主に酸性ー塩基性火山岩類からなるため、集水域内の主な砕屑物供給地の変化が別府湾堆積物の鉱物組成に反映されることが期待される。本研究では全岩粉末X線回折プロファイルの数値的端成分分離の結果と現世河川懸濁物の鉱物組成を比較することによって、完新世における別府湾への砕屑物供給源変動を復元する。