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炭酸塩はその形成時に,地下水水質の変遷履歴などの古水理地質情報を記録している可能性があり,地下に形成された炭酸塩脈は,過去の環境の変遷を知る手掛かりになる。本研究では,北海道北部の新第三系海成堆積岩である声問層と稚内層中に見られる炭酸塩の産状に見られるコントラストについて,CO2の供給の観点からその成因を検討し,炭酸塩脈の形成プロセスを次のように整理した。ダイアジェネシス期を経る過程においては,地下水中のCO2は,有機物分解により供給されると共に,微生物活動によりCH4へと還元される。一方で,ダイアジェネシス期を経てカタジェネシス期を経験した後に隆起した地層では,有機物は分解しにくい状態にあると考えられる。このような地層中では,微生物によるCO2還元反応によりCO2が消費される結果,平衡反応の移動により炭酸塩が沈殿しやすいことが考えられる。このように,炭酸塩脈のコントラストの成因が説明される。