環礁の堆積物は炭酸カルシウムを主成分としており、大陸から離れた閉鎖的環境で、島で使用される工業製品も特定できるため、環境化学に適した地域であると考えられる。本研究では環礁堆積物表層で濃集している元素の起源およびそれらの濃集メカニズムについて報告する。 試料はマーシャル諸島マジュロ環礁の3つの島から深度別に採取した。各元素の起源の特定のため、X線吸収微細構造(XAFS)解析を行った。また堆積物の年代は、堆積物中の主要構成物である有孔虫を用いた14C年代測定により決定した。 14C年代測定の結果、人為起源と考えられる重金属は1900年代の島の都市化以降に表層に付加した可能性が高いことが分かった。その中でも亜鉛は、銅との合金の微粒子として存在しているもののほか、有孔虫内のカルサイトや二次的に生じたアパタイトと共沈しているものがあることが判明した。特に後者は固定され、環境中には流出しにくいことが分かった。