Hf-W年代測定法は、コアの分化時期や地球初期のマントル-地殻の分化に関わるトレーサーとしても研究されている。本研究では、地球岩石における高精度のW同位体分析を行い、地球のコアとマントルおよび地殻の共進化過程を解明していく。 高精度W同位体比分析には海洋開発研究機構のマルチコレクター型ICP-MS Neptune Plus(Thermo Scientific社)を用いた。標準溶液を分離した溶液を測定すると、いずれの溶液でも183W/184Wが変動し、-5ppm程度ずれることが分かった。この現象はWillbold et al.(2011)でも報告されている。本研究では分離した標準溶液を用いて、未知試料の同位体比変動を計算することにした。 分離したJB-2試料と、分離した標準溶液との差を測定した結果、µ182W/184W=-3±9ppm(n=12)µ183W/184W=2±4ppm(n=12)となり、183W/184Wの変動は、分離した標準溶液と比べると、有意な差は見られなかった。