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パラサイト隕石はカンラン石とFeNiメタルを主要構成鉱物に持つ石鉄隕石であり、惑星の進化、特にマントルの進化を読み解くことが期待される。これまでにパラサイト隕石の形成メカニズムは岩石学的・地球化学的アプローチによって考察されてきたが、未だに謎が多い。パラサイト隕石の詳細な年代決定を行うことは、母天体上での形成プロセスに制約を与えるという点で重要である。当研究ではBrenham隕石のHf-W同位体比分析を行った。放射性核種の崩壊による同位体比の変動に加え、元素合成に関する不均質や宇宙線照射による同位体変動を考慮すると、パラサイト隕石の母天体は太陽系形成開始から少なくとも4.2 Myr以内には惑星分化が起こっていたことが示唆される。