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ダイオジェナイトは、エイコンドライトの中で最も発見数の多いHED隕石グループに属する隕石であり、母天体の地殻に相当する物質と考えられている。そのため、その分析から惑星の初期地殻進化についての情報を得る試みがなされている。本研究では、ダイオジェナイト6試料 (Bilanga, Tatahouine, NWA 5480, Y-002875, Y-74013, Y-74097) の希土類元素組成の分析を行った。分析の結果、6試料は多様な希土類元素組成を示すことが分かった。このことは、ダイオジェナイトの母成分マグマの希土類元素組成が多様であると考えることで説明可能であり、多段階の形成過程を示唆する。