日本地球化学会年会要旨集
2017年度日本地球化学会第64回年会講演要旨集
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G02 古気候・古環境解析の地球化学
東部赤道太平洋域における始新世の堆積物に含まれるバライトと炭酸塩中の硫酸態硫黄同位体比について
*外山 浩太郎中瀬 千遥後藤(桜井) 晶子沢田 健Adina Paytan長谷川 卓
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p. 4-

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抄録

海洋における130 myr.間の硫黄同位体比変動は、バライト(BaSO4)の値が採用されている(Paytan et al., 2004)。しかし、バライトは、生物生産の盛んな地域の堆積物からしか抽出できないという問題点がある。そこで近年、炭酸塩に含まれる硫酸イオン(CAS)の硫黄同位体比が注目されている。本研究では、同一堆積物から抽出されたバライトとCASの硫黄同位体比を比較し、古海洋の復元にCASが利用可能であるかを検討した。CASとバライトの硫黄同位体比について、CASの値は、バライトのものよりも約1‰高い値を示した。この違いが生じた原因について、バルク試料中の炭酸塩部分は、石灰質ナンノとともに少量の再結晶方解石から構成されていた。再結晶方解石中の硫黄同位体比は、硫酸還元により高くなった間隙水中の値を反映すると考えられる。それに伴ってCASの硫黄同位体比は、海水の値よりも高い値を示したと考えられる。

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