鉛(Pb)は、分布の時間変化から物質循環を捉える遷移トレーサー(過渡的トレーサー)として有用であると期待される。そこでキレート樹脂カラムを用いたシンプルな定量分析法を確立することを目的とし、分析法の正当性を裏付けるためのデータを取得した。また、Pbの安定同位体(204Pb, 206Pb, 207Pb, 208Pb)は多様な人為的発生源に応じて特徴的な同位体比の値を示すことが知られている。そこで、本研究では我々が別途開発したPb同位体比分析法も活用し、日本海溝におけるPbとその同位体比の分布解明を行った。