p. 87-
西日本の日本海側に位置する宍道湖と中海で、堆積物の表層部(1980年以降)でPb、Zn、Cd濃度の上昇トレンドが観測され、Pbはその同位体比からアジア大陸からの越境輸送が寄与している可能性が報告された(Kusunoki et al., 2012; 楠・坂田, 2015)。しかし、Znは工業的に広範に利用されているため、排水流入によるローカルな発生源の影響も考えられる。また、Cdも亜鉛鉱石に1%程度含まれ、化学的性質がZnと類似していることから、同様に排水流入が寄与している可能性がある。水域におけるアジア大陸からのPb、Zn、Cdの越境汚染の寄与を評価するためには、日本国内の人為発生源のデータ(Pb、Zn、Cd濃度やPb、Zn同位体比など)とともに、アジア大陸からの越境汚染の影響を強く受けるエアロゾルについても同様なデータを得る必要がある。そこで本研究では、長崎県平戸市で捕集されたエアロゾル試料を対象にして、まずPb、Zn、Cdを含む微量金属濃度とPb同位体比の季節変化を調べた。