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脂肪族アルコールはこれまで、高等植物に由来するワックス成分等として様々な地球化学的試料において分析されているが、大気中においては観測例が極めて限られている。植物から直接放出されるPrimary Biological Aerosol Particles(PBAPs)の起源指標として、その有用性などを実大気から明らかにすることは重要である。本研究では、2か所の国内森林サイトにおいて通年で取得した大気エアロゾル試料を用い、5つの脂肪族第二級アルコールを新たに検出・同定した。脂肪族第二級アルコール濃度は春季に最大を示す明瞭な季節変動を示し、その変動はスクロース(花粉等の起源指標)と類似していた。過去に報告例のあるバイオマス燃焼由来とされる一部の脂肪族アルコール以外に、脂肪族第二級アルコールが植物ワックス由来のPBAPsとして放出されていることが示唆された。